【本】開成・海城・豊島岡の2019年入試で出題された論説文
2019年度入試で出題された本
開成、海城、豊島岡などの学校で出題され、話題となった論説文。
それが「うしろめたさの人類学 - 松村圭一郎(著)」である。
先入観を持たないために、色々と調べる前にポチっと購入して読んでみた。
テーマは深いのだが、非常に読みやすい。
読み進めながら自分の考えの殻を破っていける。
世の中の不公平さに対し、真摯に「うしろめたさ」を持って向き合うことの重要さについて述べられている。
筆者のエチオピアでの経験をもとに、前半は個人レベルの話、そして後半は国家レベルの話が展開されていき、我々がいかに「交換モード」で生きているかを思い知らされる。
豊島岡女子学園
豊島岡女子学園の2019年入試問題を解いてみた。
この本の核となる「贈与」と「交換」に関する部分から出題されており、短い文章の中に「経済」と「非経済」といった別の言葉への言い換えや、抽象化と具体化の行き来が何度も出てくる。選択問題もそのあたりを巧みに利用して考えられているため、誤った選択肢を選んでしまう子もいたのではないだろうか。
開成中学
開成中学の2019年入試問題を解いてみた。
豊島岡女子学園とは異なり、日本とエチオピアの違いを「感情」という切り口で分析している部分から出題されている。筆者がエチオピアで生活していたときの感情の起伏の激しさと、日本に戻ってきてからの感情の振れ幅の小ささを、具体的な経験をもとに分析している。
問題自体の難易度は高くないが、やはり「言い換え」と「抽象化」ができるかが肝となっている。
本全体の感想
この本全体を通して、グローバル視点での経済格差の問題や、ナショナリズムに関する問いかけ、未来をどうしていくべきかといったことが書かれているため、ぜひ、家族全員が読んだ上で、親子で意見を交わしてみるとよいのではないだろうか。
私が大好きな言葉である「ノーブレス・オブリージ」と通じるものがあり、筆者の論理展開も私の好みであり、非常に充実感のある読書の時間を過ごすことができた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
次回は、「子供への指導法」について書く予定です。