36×25は?数の感覚と単純化の重要性
分解と知識
「36×25はいくつ?」
もにちゃんに問いかけてみると、やはり考えこむ。
文字で見てみると思いつくと思うが、分解して考えると非常に簡単である。
9×4×25 = 9×100 = 900
ここでのポイントは2つ。
・掛け算の分解(因数分解)
・4×25=100 であることを知っている(考えなくてもわかること)
私は中学受験の経験がない田舎出身ですが、なぜか数字が大好きで、いつも頭の中で暗算をして遊んでいた。
例えば、車のナンバーの数字と四則演算を利用して、ある数字を作り上げるなど・・・・。
そのため、小学低学年の頃から、数の感覚だけは持っていたと自負している。
2の10乗が1024であることも知っていた。累乗という概念は知らなかったが。
今、もにちゃんを見ていて、この「数の感覚」が非常に弱いと感じる。
正しく言うと、以前までは感じていた。
それを克服するために、日常の会話の中であえて、数の感覚を意識するような問いかけをし続けていたのだが、最近になり変化が生じてきた。
むやみやたらに取り組むのではなく、まず、単純化できないかを考えるようになった。
私はこの「単純化」が、中学受験において非常に重要だと考えている。
所詮、小学生の勉強なので、難問といっても実は「単純なものを複数組み合わせて、難しく見せているだけ」というのがほとんどだと実感している。
推測にはなるが、偏差値が70を超えるような子供たちは、おそらく「難問がどう難しく作られているか」を説明できるのではないだろうか。
それは、単純なものを組み合わせることで難しくなっていることを理解し、説明できるということであり、自然に「分解」できているからではないだろうか。
【ストーリーNo.4】中学受験をするということ④
いざ、出陣!!
塾で紹介された学校の「オープンキャンパス」の日、電車にのっていざ出陣。
学校の最寄り駅に到着すると、もにちゃんと同じ年ごろの子がたくさん。
多くがママと娘の二人組。我が家はもにちゃん、ママ、パパの三人組。
「みんなオープンキャンパスに来てるんだね~」
「この流れについていけば、地図見なくていいね~」
なんて言いながら、集団について歩いていく。
もにちゃんはママとくっついて、うれしそうに歩いている。
(もにちゃんはママが大好き)
パパは一人浮いている。いつものことである。
そうしているうちに学校に到着。
「ん??」
「あれ??」
「ここ・・・・違うじゃん・・・」
そう、我々は間違ていた。
その日、同じ最寄り駅の別の学校※でもイベントを実施しており、そちらの集団についていってしまったのである。
※のちに、この学校が我が家に大きな影響を与えるのだが・・・
全てが感動
回り道をしてしまったが、無事に目的の学校に到着。
お嬢様学校というイメージを持っていたが、全然甘かった。
想像していたよりもお嬢様レベルが高く、品がよい。
オープンキャンパスの場なので当然かもしれないが、ウェルカムな雰囲気がすごく、もにちゃんにも優しく話しかけてくれたり、質問にも丁寧に答えてくれたり、、、
あまりのレベルの高さに、「こんな世界があったのか」という感じである。
そして何より、生徒一人ひとりが主体性を持って行動していることに感動した。
その一例ではあるが、、、
ある部活の発表を見学させていただいた時の出来事。
大変な人気でほぼ満席になっていた室内。
一番前の中心に台座があり、その両端の席が1つずつ空いている状態であった。
発表ステージ
●●●●●〇 台座 〇●●●●●
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
まもなく発表開始時刻というときに、娘とママの2人組がやってきて、申し訳なさそうに前に進み、空いている席に座ったのである。
その時、一人の生徒が前に進んでいき、台座の右側の椅子を持ち、台座の左側に移動させたのである。親子が二人一緒に発表を鑑賞できるように。
発表ステージ
●●●●●〇〇 台座 ●●●●●
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
私は偶然にも見ていたのだ。
その生徒が、先生にも他の生徒にも相談せず、自分の判断で動き出した瞬間を。
彼女は、(おそらく)中学生にしてすでに、自分が正しいと思うことを、即座に行動にうつすことができる人間なのだ。
前回の記事で書いた、我が家の子育てのポリシーは以下の2点である。
・「一人の人間」として接し、意見を尊重すること。(我々の「モノ」ではない)
・人として正しいことを「自分で判断」できるように、もにちゃん本人に常に考えさせること。
そう、私の頭の中で、2点目のポリシーとこの生徒の行動が完全にリンクしたのだ。
こういった感動を何度も経験し、ママも感動している。
そして、肝心のもにちゃんはというと・・・
「お姉さんたちが優しかった」
(10秒くらい沈黙・・・)
「あと、学校がすごい綺麗だった」
・・・
もにちゃんは「普通の中学校」を知らないのだ。
比較対象がないから、この学校がすごいのか、すごくないのか、わからないのだ。
しかし、もにちゃんは言っていた。
「うまく言えないけど、すごいのはわかる」
そう、もにちゃんは自分なりに、何かを感じたのだ。
この時期、もにちゃんは、自分の言葉で何かを表現することや、自分の考えを人に伝えることがあまり得意ではなかった。
しかし、この日を境に、全てが変わった。
(本当は「無理矢理に変えた」のかもしれない)
覚悟
私の中で、ぼんやりとしていた景色が明確になった。
金銭面についても、覚悟が決まった。
もにちゃんの人生が豊かなものになってほしいという思いに対し、その手助けの手段が垣間見えた。
この頃から、勉強に対し、パパも関与することになり、様々な問題が生じるのだが、コミュニケーションの機会が増えたことで、信頼関係は強くなった。
中学受験は、いうまでもなく子供にとって大きな負担である。
家族にとっても、経済面・精神面・時間面・体力面で大きな負担となる。
しかし、それ以上に得られるものが大きいと感じている。
・合否にかかわらず、何かに向かって努力したという「事実」は人生の糧となる。
・子供の努力を間近で見ることができ、言葉にできない愛情が育まれる。(親の立場)
・親のサポートを、子供は子供なりに感じ、そのことは人格形成にも間違いなくプラスになる。
・親子で共通の目標に向かって突き進むため、家族の絆が深まる。
中学受験をするということは、実はそれ自体に意味がわるわけではないと私は考える。
「覚悟」をもって、「家族一丸」となって「圧倒的な努力」をすることが、結果的に今後の人生にプラスに働くのではないだろうか。
なぜなら、その経験は裏切らないから。
我が家の中学受験が、もにちゃんの長い人生において、よい影響を与えてくれるものになる。そう信じて、突き進む覚悟を決めたのである。
続きは次回。
【ストーリーNo.3】中学受験をするということ③
塾での面談
はじめての面談。
どんな感じで始まるのかと思いきや、先生から開口一番
「まず、私の思っていることを言います」
もにちゃんについて、先生が思ったことを率直に伝えていただき、こんな学校があっていると思う。という話までしていただいた。
さすがプロ…という思いと、私たち夫婦が唯一大切にしてきた子育て※のポリシーみたいなものがもにちゃんに伝わっていたのか、その点について、先生からも褒めていただいた。
(ポリシーについては今後説明予定)
※子育てという言葉はあまり好きじゃない。英語には適した言葉がなく、careと表現するそうで、そちらの方がしっくりくる。
一通り生活の様子などの話をした後に、これまでの成績をもとに偏差値の話や、漢字や計算問題など、基礎勉強についての指導などがあり、ふむふむと聞いていた。
そして、面談が終わりかけたときに、先生から、学校説明会や文化祭など、学校に足を運ぶように言われる。合う合わないがあるから、ぜひたくさん見に行くようにと。
そう言われても、よくわからないので、
「どこかオススメありますか?笑」という、幼稚な質問をしてしまう。
先生は親切にいくつかの学校を紹介してくれた。某塾の偏差値で55〜65あたりの学校である。
その当時のもにちゃんの偏差値から見ると、かなり難しいという印象。
ただ、ある学校の名前が頭に鮮明に残る。
理由はわからない…
いや、本当はわかっている。
校名の音の響きが美しいからだ!
浅いパパでごめんね。
この日から私は通勤中にこの学校について調べまくることになる。
その行動により、他の学校名、場所、偏差値、校風、進学実績など色々と知ることができた。
しかし、それは表面的なことで、私はまだわかっていなかった。
中学受験の素晴らしさを。
そして、中高一貫校の素晴らしさを。
次回、初めての中学訪問について書こうと思う。
【ストーリーNo.2】中学受験をするということ②
塾生活スタート
塾生活がはじまり、楽しそうに通うもにちゃん。
先生の話がおもしろいらしく、色々な出来事を嬉しそうに話していた。
算数については小学校の勉強と比べ、難易度がかなり高くなったと感じていたようだ。
塾のテストの結果はいまいちであり、同級生の上位の子は雲の上の存在。
本人も「〇〇ちゃんは、1年生から通ってるんだって!」といったように、届かない存在として認識していた様子であった。
中学受験のことを何も知らないパパは仕事でいつも終電。
ママも働いているため、基本的には勉強は塾に全ておまかせ。
わからないところだけ、たまにママに質問があったようだが、その程度。
数か月が経過し、成績はわずか(本当にごくわずか)に上がってきた(笑)
この期間、もにちゃんは自分の中で一生懸命やっていたのだと思う。
ただ、目標が定まっていなく、目的を持って取り組めていなかったのではないだろうか。
しかし、今振り返ってみると、よく一人であの塾のスピードに食らいついていたと思う。
中学受験経験者(特に大手塾の中~下位クラス経験者)ならわかると思うが、わからないことが多い状態で、さらに新しいことが想像を絶するスピードでやってくる。
もにちゃん、成績を維持するだけで精一杯だったはずなのに、わずかに伸びてるなんて、どれだけ頑張っていたんだろう。そう思うと本当にいとおしくなる。
気づき
ちょうどその頃・・・
塾の先生と面談がある(らしい)という話をママから聞き、「ふ~ん。何話すのかな。」なんて言いながら、ちょっと勉強の状況を把握しようという気持ちになった。
過去の成績の簡易分析や、本人との会話の内容から、状況を把握。
・算数:嫌いではない。計算遅い。ミス多い。根本的理解も×。でも点数はそこそこ。
・国語:本人は好き。でも点数はついてこない。漢字も×。小説には強い。
・理科:センスあり。分野毎の得手不得手もあまりない。点数の稼ぎ頭。
・社会:ベースとなる知識はある。色々な関連付けができていないので暗記効率×。
ここで、パパは気づいてしまう。
もにちゃんが、もっと良い点数がとれることに。
バラバラになっているピースをきちんとつなぎ合わすことができれば。
そして、塾の先生との面談の日がやってくる。
この日が、私たちにとって転機となったのである。
続きは次回。
【ストーリーNo.1】中学受験をするということ①
中学受験のはじまり
「中学受験」
私のような超ド田舎出身の人間にとって、あまりにも遠い話であり、何の知識も持っていなかった。
ただ、「都会に住んでいる子は受験する子が多い」という、ぼんやりとした情報だけは頭に残っており、住む場所を決めるときも、「学区」だけは意識していた。
意識していた点は「中学受験をする子がそこそこいる学区」であるということ。
中学受験をする子が多い=荒れている確率が低い という根拠のないイメージがあったのだと思う。
もにちゃんが低学年時に受けた学力テスト。わりと成績がよい。
勉強は嫌いではないみたいだが、そんなに好きでもない様子。
それでこの成績なら、努力すればもっとよい結果が出るのではないか?
それ以上深く考えることもなく、月日は過ぎていった。
小学3年になり中学受験をするかしないかわからないけど、手遅れにならないように塾には行っておこうか・・・
そんなノリで塾生活がはじまった。
ここから全てが変わった・・・・・
わけではなかった。
中学受験は親の関わり方が重要だということに、この時は気づいていなかったのだ。
続きは次回以降で。